転職活動をするときに最も重要なポイントは「人間関係」です。新天地での新しい関係づくりはもちろん、退職する会社での人間関係も大事にしなくてはなりません。どうせ辞めるから……という意識で挨拶もしないようでは、社会人失格です。
たとえば同業他社に転職した場合、展示会などで顔を合わせることもありますし、異業種に転職しても、休日にばったり出くわすこともあります。そんなとき、お互い笑顔で挨拶できるような関係を築きたいものです。
ビジネスにおいて、人脈は宝だといわれています。ご縁のあった人たちとの関係を大切にしてください。
出会いを大切にすることがビジネスチャンスを広げます
退職を決意したら、チームリーダーなど、必ず直属の上司に相談しましょう。いきなり部長や社長に話をする人もいますが、これでは上司の顔をつぶしてしまいます。また、上司に相談する前に同僚に報告することもNGです。本人からの報告よりも先に噂話を耳にしてしまうこともあり、職場の雰囲気を壊してしまうこともあります。これでは、残された同僚たちは働きにくくなってしまうでしょう。
上司に話すには、タイミングも重要です。忙しいときは避けたほうがいいでしょう。また、「退職します」といきなり切り出すのはNGです。相談があると話をし、会議室など、他の人に聞かれない場所で退職話をしたほうが、冷静に話し合いをすることができます。
このとき、退職理由を聞かれると思いますが、会社に対する不満をいわないほうがいいでしょう。業績不安や職場の人間関係に悩んで転職を決意したとしても、「憧れの仕事に挑戦したい」「スキルアップのため」など、前向きな理由を用意しておいたほうがいいですね。
上司に報告するときにはタイミングを見計らって
後任者の選定や退職時期など、上司との話し合いが済んでから同僚に報告します。引き継ぎのために顧客情報を整理したり、文書で残しておくのはもちろんのこと、わからないことがあれば退職後も相談を受ける姿勢を見せたほうがいいですね。携帯電話のメールアドレスを教えておけば、後任者も安心できるはずです。
退職するのだから関係ない、という姿勢が一番よくありません。他業種に転職したとしても、これから仕事をともにする機会がないとは言い切れないからです。また、同業種の場合、いい加減な態度をとれば、それが噂になって広まってしまうこともあります。あなたの評価を下げることにもなる可能性があるので、仕事は最後まで責任を持って成し遂げなくてはなりません。
引き継ぎは顔を合わせて説明したほうがいいですね
取引先など、社外とのつながりがある場合は、必ず後任者を連れて挨拶にいきましょう。お世話になった意思表示をするだけではなく、後任者を紹介することで先方を安心させることができます。
挨拶に行きたくても、スケジュールが合わなかったり、遠方のため訪問することが難しい場合は、挨拶状を出すといいですね。最近では、メールで済ませてしまうことも多いようですが、手紙(またはハガキ)のほうがより丁寧です。
退職理由を詳細に書く必要はありませんが、いままでの感謝の気持ちを表すためにも、具体的な内容を盛り込みましょう。ビジネス文書の本に出てくる定型文のような挨拶だけでは、何も伝わりません。
特にお世話になった方にはちょっとした贈り物も◎
退職と別れ話は似ているといわれています。それは、自分の意志を相手に伝え、互いに納得したうえで退職(別れる)すれば、別の道を歩んでいてもよい関係をキープすることができるからではないでしょうか。
どんな理由で退職するにせよ、その会社にお世話になったことには変わりません。「立つ鳥跡を濁さず」の精神で、退職時もスマートに振る舞いたいものです。
新しい環境に飛び込む前にいまの関係も大事にしましょう